2013
06.16

「A.I.」のこと

Category: 映画・動画
< ネタばれ注意 >

デイヴィッドは、人工知能と愛するという能力を与えられたロボット少年のプロトタイプです。

彼はある時、息子が事故で植物人間状態になってしまったヘンリーとモニカという夫婦の元に引き取られて行きました。決められたコードを入力すると、生涯に渡りその人を親として認識し二度と変更は効かないというプログラムが組まれています。なので、何らかの理由で彼が必要でなくなった場合は、製造メーカーに返却し、破壊するしかありません。

ai_6.jpg

モニカはコードを入力し、デイヴィッドは彼女を母親として認識します。ディヴィッドの学習能力はとても高く、夫婦の行動のすべてに興味を示し、それらを自分の行為の中に取り入れていきますが、何たる運命の悪戯か、間もなくして本物の息子、マーティンが奇跡的に回復、家に戻ってきました。すると、マーティンや彼の友達らの子供らしいライバル心や好奇心によって事件が連続し、ディヴィッドの行動を危険視したヘンリーに促されたモニカは、苦渋の選択の結果、ディヴイッドを森の中に置き去りにします。



こんな風に始まる、現代版ピノキオ+SFファンタジー・ストーリーといえますが、こんなにも楽しめて心動かされた映画は数少ないです。音楽、視覚効果、俳優の演技、ストーリーの構成、どれをとっても完璧でした。キューブリック監督が長年温めてきたコンセプトをスピルバーグに託し、彼がそれを忠実に踏襲、彼なりの色を付けて仕上げた作品です。キューブリックだけでも、スピルバーグだけでも創り得なかった映画でしょう。

アマゾンのレビューでは、評価が大きく分かれ、これも大変面白い現象だと思います。この作品を低評価する人が高評価よりも目立つのも面白いところです。その人の持つ価値観、視点がこれほど明らかに表れる映画も少ないのではないかと思います。わたしにとっては、100点満点の秀作でした。

機械と人間を隔てるもの、それは一体何なのでしょう?ロボットがサイボーグ化し、どんどん人間に近か付いて行ったら、最終的にはどうなるのでしょう?これは、キューブリックが「2001年宇宙の旅」でも提起していますね。ロボット映画の一つのテーマといえるでしょう。人工知能によって、愛することを学習する…できるのでしょうか?そもそも、愛をインプットできるのでしょうか?

レビューの中に、愛されることだけを求め続ける身勝手なロボットは、愛する対象が他に見つかれば、捨ててしまうような人間が言う「愛する」対象にすぎない…という意味合いのコメントがありました。

確かに、そのような見方も可能かもしれません。が、この物語には深遠、広大なコンセプトの、思いもよらない展開が続いていきます。その中でデイヴィッドは、一つ一つの体験を通し、学んでいきます。そうです。体験によって学んでいく点においても、人間と同じなのです。
マーティンによって、モラル意識を試され、愛する対象へのライバル意識や独占欲を知り、子供たちによって危機回避能力の機能不全を体験し、自分が特別であるという意識をよりよきことと認識し、それが裏切られた時の落胆を体験し、失意からの自殺を体験します。

ところが、海へ投身した彼を他のロボットが助け、魚たちの助けによって、水没した遊園地のピノキオ・テーマパークの中で、彼を人間にしてくれると信じ探し続けてきた「ブルー・フェアリー」に、遂に出会うことになります。

ここまで観てくると、ロボットにも人間同様に、運命という不可避の力が働くことがわかります。魚の群れが彼を取り巻き、青い妖精の銅像の前まで、彼は沈み落ちていくのですから。。。ここにも運命の力を感ぜずにはいられません。

その後は、進化したロボットのような、神のような宇宙人?が登場し、海底に沈んで2000年が経過したデイヴィッドを発見、彼の夢が実現されることになります。
家に戻ったデイヴィッドが、母とロボットのテディと過ごすラストの20分は、もう圧巻、神秘と美しさと懐かしさで満ち満ちています。テーマはすでに、「永遠に不変なるもの」に昇華されています。母親に愛されることを夢見続けたロボットのディヴィッドは、たった一日しか母を愛せない条件の中でそれを受け入れ、心から愛するのです。

彼は、愛が永遠であることを知るのです。


二人の監督の最終的なテーマは、ここにあったのではないでしょうか。そこに至るための条件として、彼らには宇宙的存在が不可欠でした。恐らく彼らは、かなり深いレベルで宇宙人との交流をもっていたのではないでしょうか。ロボット、サイボーグ、人工知能の先には、人類創造の物語として、宇宙人の存在が関わってくるのが自然だと思います。ちなみに映画の中の存在たちは、わたしには、アルクツールスの人たちのように感じられました。

A.I.




精神世界ランキング 参加しています

スポンサーサイト

トラックバックURL
http://salasvaty.blog94.fc2.com/tb.php/222-bab79508
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top